ここ最近、「体脂肪がつきにくい」という触れ込みで多くの炭酸飲料が発売され、爆発的なヒットとなっています。その人気の秘密の一つとして、それらの商品には特定保健用食品(トクホ)マークがついていることが挙げられます。トクホの食品とは、血圧や血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、お腹の調子を整えるのに役立つなどの特定の効果が科学的に証明されているものです。そのため、トクホマークがついているだけで、「健康的な食品」と信じ込んでしまっている方も多いかもしれませんね。
トクホマーク付きの炭酸飲料は、難消化性デキストリンという食物繊維を含み、脂肪の吸収を抑える効果があるとされています。しかし残念ながら、そもそも健康に良くないものに対して、身体によいとされるものを加えたからといって、それが結果的に「健康的な炭酸飲料」になるわけではありません。炭酸飲料はあくまでも炭酸飲料なのです。
難消化性デキストリンを炭酸飲料に加えるというアイデアは、(独)国立健康・栄養研究所による2006年の研究結果が根拠になっています。この研究によると、難消化性デキストリンと脂肪の両方を摂取したネズミは、難消化性デキストリンを摂取していないネズミに比べて、脂肪の吸収量が少なかったそうです。しかし疑問点として、この研究は動物実験にとどまり、人体実験は行われていないため、難消化性デキストリンが人間にも同じ影響を与えるかということは証明されていないということです。
また他の疑問点としては、デキストリンの取り過ぎは体調不良につながるということが証明されていることです。ハーバード大学のリリアン・チェン教授によると「人が難消化性デキストリンを摂取した場合、腹痛のほか、お腹にガスがたまったり、膨満感が生じたりといった短期的なリスクがあることが示されており、長期的なリスクはまだ研究すらされていない」とのことです。
同じくハーバード大学のウォルター・ウィレット教授は、「販売企業側は人体実験の結果でこれを覆すデータを提示できない限り、企業側の主張は虚偽だと認識されるべきだ」と言っています。
果物やナッツ、野菜、全粒穀物、豆類などに自然に含まれる食物繊維とは違い、難消化性デキストリンを摂っても満腹感に浸ることはできないということを覚えておきましょう。食物繊維が豊富な食べ物には、ビタミンやミネラル、抗酸化物質やフィトケミカルといった美の味方がいっぱい詰まっています。ですから、炭酸飲料から食物繊維を摂ろうとすることは、こうした美の味方たちを摂取する機会をみすみす逃してしまうことになります。
もちろんトクホマークが付いた食品のすべてを否定する訳ではありません。しかし、このような炭酸飲料に日本の厚生労働省のお墨付きが付いたというニュースは、海外のメディアで取り上げられ、疑問の声も上がっています。
どんなに魅惑的な広告でも、どんなセレブが勧めていようと、どうか惑わされないでください。宣伝文句がうますぎると思ったら要注意です。健康的な炭酸飲料などありえないのです。
明日は、炭酸飲料がなぜ体に良くないのかについての記事をアップ予定です。
Lots of Love, Erica
ご参考までに、トクホマーク付き炭酸飲料について特集した海外メディアもご参照ください。
TIME誌: http://healthland.time.com/2012/11/15/pepsis-fat-fighting-soda-too-good-to-be-true/
SELF: http://www.self.com/blogs/flash/2012/11/fat-block-soda-japan-pepsi-special-with-fiber.html
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