アメリカ、オーストラリア、英国等のヘルスコンシャスな人たちの中での拡がりつつあるトレンドといえば、グラスフェッドビーフ(牧草牛)です。
お肉といえば、兎にも角にもそのクオリティーが重要ですが、その動物(ビーフの場合は牛)が何を食べて育ったのか?と考えたことはありませんか?
”You are what your animals eat!” (あなたはあなたが口にするその動物が食べたものでできているのです!)
その牛が何を食べて育ったのか?穀物か牧草か?そしてそれが牛の健康状態や牛肉の栄養価にも大きく影響しうることは、簡単に推測できませんか。日本(そして米国)で流通している牛肉の多くは、コーンや大豆等の穀物で育てられた“グレインフェッド”です。
しかし、牛は本来草食ですから、穀物を上手に消化することは得意ではないのです。それなのに無理やり穀物を食べさせるため、牛の消化器官は異常をきたし、健康状態に悪影響を与えます。
ですから、牧草で育てる“グラスフェッド”は、一番自然に近い状態で、牛に負担がかからない飼育方法と言えます。
また飼料で使われる穀物(コーンや大豆)のほとんどはGMO“遺伝子組み換え”されたものであることも周知の事実です。
その上、アメリカの“グレインフェッド”牛は子牛の時から狭い囲地で飼育され、新鮮な外気に触れる機会もほとんどなく育てられています。
オーストラリア牛は、“グレインフェッド”であっても放牧飼育されているので、まだ良い状態ではあるようです。
ーーグラスフェッドの定義ーー
次にグラスフェッドの定義についてご説明しましょう。
実は明確でないものが非常に多く市場に出回っています。
アメリカでは、“グラスフェッド”についての政府による定義が未だ定められておらず、「USDAオーガニック」のようなオフィシャルな “グラスフェッド”認定はまだありません。ただ、AGA(米国グラスフェッド協会)という組織があり、独自でアメリカ国内の“グラスフェッド”認定を行っています。
オーストラリアでは、PCAS(牧草供給牛保障システム)によって“グラスフェッド”であることが認定されています。
PCAS認定がされたものであれば正真正銘100% “グラスフェッドビーフ”です。
“グラスフェッド”と表記されていても草を食べていたのはほんの短期間で、実はほとんど“グレインフェッド”だったり、肉付きをよくするために出荷の数ヶ月前から“グレインフェッド”に切り替えたものだったりするものなど、信用性に欠けるものが多く出回っています。
または“グラスフィニッシュド”なる間際らしいラベルも目にします。これは、穀物でも育てられた可能性もある上に、抗生物質とホルモンも投与もされていることもあるものです。
ーー➕ オーガニックのものを選びましょうーー
ここでクリアにしたいのは、混同してしまいがちですが、グラスフェッド≠オーガニックだということです。
グラスフェッドであっても、その草に合成肥料と除草剤が使用されていたりすると、それはオーガニック“ではありません。
またホルモン増殖促進剤(HGP)を投与されている牛もオーガニックとは言えません。(ホルモン増殖促進剤は耳に埋め込まれ、徐々に溶解しホルモンを血流に放出させて行きます。投与されるのは女性ホルモン(エストラジオールおよびプロゲステロンなど)、男性ホルモン(テストステロンおよび酢酸トレンボロンなど)、またはその両方を組み合わせたものの場合もあります。)
安心安全のためには、グラスフェッド➕オーガニックのものを選んでいただくのが最善です。
ーーー栄養価についてーーー
グラスフェッドビーフは、グレインフェッドと比較して、
・脂肪分が少なく、オメガ3脂肪酸含有量が多い
・ローカロリー
・CLA(共役リノール酸)と呼ばれる、血糖値の調節などに役立つ良質な脂肪量が約3倍
・ビタミンEなどの抗酸化物質が多く含まれる
・プロテイン、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、亜鉛、鉄、セレンなど多くの栄養素が含まれる
・ルテイン、ベータカロチンの含有量が2倍
(注:グラスフェッドのオメガ3脂肪酸の含有量90mg/100gです。サーモン1600mg-2700mg/100gですので、サーモンのその栄養価の高さがわかりますね)
ーーー健康に育つのはどちら?ーーー
大規模なグレインフェッド牛農場では、牛はしばしば病気になります。
前にも述べたとおり、非常に狭い空間で飼育されており病気が伝染しやすい環境です。
それを防ぐために、抗生物質が与えられます。実際、米国で販売されている抗生物質の約80%が家畜に使用されており、これが近年問題となっている抗生物質耐性に深く関係しているのです。抗生剤だけなく、成長促進目的でホルモン剤も使用されています。グレインフェッドはグラスフェッドの牛に比べ、1年分も早く成長し、肉付きもとてもよくなります。
ーーー安全性ーーー
グラスフェッドはグレインフェッドに比べ、
・食中毒の危険性が低い。
・3つ以上の抗生物質に対する耐性となるバクテリア「スーパーバグ」を含む可能性が低く、安全性に優れている。
(米国で行われた、コンシューマーレポートが実施した300袋分の牛肉を分析した調査によると、抗生物質耐性菌であるメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)がグレインフェッドからは3件検出されたが、グラスフェッドビーフからは検出されなかった。)
グラスフェッドでオーガニックであっても赤身肉は週に3度程度にすることをおすすめします。
赤身肉の食べ過ぎによって、大腸がん、2型糖尿病、心血管疾患のリスクが大きく上昇します。(オーストラリアの食生活ガイドラインでは、赤身肉の摂取は455g/週までにすることを推奨しています。)
ビーフのみに限らず、グラスフェッド肉は、グレインフェッドのものに比べ、調理時間が30%短くて済んでしまうので、調理しすぎにはご注意を!
繰り返しになりますが、できる限り、グラスフェッド➕オーガニック肉(鶏肉の場合は➕フリーレンジ)を選ぶことをお勧めします。
You are what your animals eat! (あなたはあなたが口にするその動物が食べたものでできている!のですから。
Lots of Love, Erica
<スタッフからのお知らせ>
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