なぜ加工食品は、開封後何週間も鮮度を保てるのか、、、?と、疑問に思われたことはないでしょうか?ご存知の方も多いと思いますが、それは、油脂の腐敗を防ぐブチルヒドロキシトルエン(以下BHTとする)などの酸化防止剤、保存料、防カビ剤などの食品添加物が使われているからです。
多くの加工食品に使用されている食品添加物ですが、今年8月に発表された最新の研究(出典1)で、加工食品や調理用具などに含まれるBHTや他の化学物質が、体重増加を引き起こす原因となり得るということが判明したのです。
この研究では、加工食品及び調理関連製品に含まれる3つの代表的な化学物質が、脳からの“満腹シグナル”をいかに妨害するかをテストしたのです。このシグナルがきちんと伝達されなくなると、満腹感を得ることが困難になるため、食べ続けてしまい、結果体重増加につながることになります。
まず、被験者の幹細胞を採集し、食欲と代謝を統制する消化器官を覆う組織と脳の視床下部を構成する細胞組織を培養し、それら組織をBHT、調理器具によく使用されるペルフルオロオクタン酸(PFOA)、船の塗料などに使われるトリブチルスズ(TBT)といった化学物質に曝露し、観察をしました。
結果、それら化学物質への曝露が、消化器官を覆う組織と脳の視床下部を構成する細胞組織間を伝達するホルモンにダメージを与えることを発見したのです。そのダメージによって、満腹時に消化器系から脳に送られるべき“満腹シグナル”が機能しなくなります。先にも述べたとおり、“満腹シグナル”が機能しないと、いつまでも満腹感を得ることできなくなるため、体重増加につながるというわけです。
研究結果から、PFOAとTBTに比べBHTが最も強いダメージを与えることがわかりましたが、その3つの化学物質の混合された際には、その影響力はさらに強くなるそうです。
さらに、この研究によってBHT等の化学物質はミトコンドリアにもダメージを与えうることが判ったのです。ミトコンドリアは細胞小器官で、摂取した食べ物と吸い込んだ酸素をエネルギーに変える働きをするものです。ですので、ミトコンドリアは、私たちの健康にとって大変重要なものなのです。
BHTは多くの加工食品に含まれています。しかし、日本では製造過程で添加されているものは、ラベルに表示する義務が課されていないため、実際にBHTが含まれていても確認できない場合があります。
アメリカ合衆国保健福祉省(HHS)が中心となり立ち上げられている米国国家毒性プログラム(NTP)によると、米国内において、実に8万種以上の化学物質が食品や日用品雑貨の原料として使用登録されているのですが、米政府の機関の科学者によってその安全性を保障されているものは、その約2%程だけなのだそうです。
食品を購入する際には、カロリーだけではなく、原材料欄のチェックもしてください。酸化防止剤・保存料・防カビ剤、また人工甘味料などの化学物質・合成添加物は、ホルモンやシグナル伝達分子に干渉し、体重増加や健康に影響をおよぼす恐れがあるからです。
食品添加物による健康や体重への影響が心配な方は、加工食品の摂取を極力減らすように心がけてください。また、食品だけでなく、調理器具も安全性の保証されたものを使用しましょう。
あなたの健康と美容のために、できる限り新鮮でフレッシュなものを摂ることをオススメします。
Lots of Love, Erica
出典1: Rajamani, U., R. Gross, A. R. Ocampo, C., Andres, A. M., Gottlieb, R. A. Dhruv, S. (2017). Endocrine disruptors induce perturbations in endoplasmic reticulum and mitochondria of human pluripotent stem cell derivatives. Nature Communications, 8 (1) DOI: 10.1038/s41467-017
Comments are closed.