最近「Wellness」という言葉をよく耳にするようになりました。日本語ですと「健康」とかそのまま「ウェルネス」と訳されて使用されていることが多いように思います。 実はこの「ウェルネス」、80年代にアメリカで使用されるようになった比較的新しい言葉なのです。
ウェルネスとは、私たちが心身病気をせず健康に幸福にに日々送る為の活動をいいます。私たちの「健康と幸福」のためには、食生活の側面だけではなく、ワークライフバランス、ライフスタイル、メンタルといった精神面からと肉体面からの総合的なアプローチが必要であるという考え方です。
先にも書いた通り、ウェルネスは比較的新しい言葉なのですが、そのルーツは古く紀元前3000年から続くアーユルヴェーダと中国伝統医学と言われています。いずれも人の肉体・知性・心の調和を整える、統合されたシステムです。また古代ギリシャの医者で、“医学の父”と呼ばれているヒポクラテスも、病は食生活、ライフスタイル環境等様々な原因から発症すると述べています。また病気を治すことよりも、予防することに重きをおいていたと言われています。
このウェルネスを目的とした“ウェルネスビジネス” が急速に拡大しています。とりわけアメリカでは最も成長している産業です。
日本と同じく、アメリカでも医療費は上昇し続けており、ビジネス界における健康問題からなる生産性の損失は、毎年数千億ドルにのぼると言われています。この事実の重くを受け止めた多くのアメリカの企業は、福利厚生の一環として従業員のためにウェルエスプログラムの導入をしているのです。
例えば、Google, American Express, Facebook, ユニリーバなどのアメリカの大企業は、大変充実した素晴らしいウェルネスプログラムを実施しています。
栄養士にによる食生活のコンサル、睡眠・マインドフルネス・メンタルコントロール等についてのセミナーなどの開催。またオフィス内にジムを設けたり、ヨガやフィットネスのレッスン、さらにはマッサージやカイロプラクティックを受けることができたり、エナジーポッド(睡眠装置)を置く専用の部屋を作り昼寝を推進している企業などもあります。栄養価の高い安全な野菜などの食材による食事を提供するカフェを運営することろもありますし、また従業員の子供たちのための託児所を設置するのもウェルネスプログラムの一つです。
職場のストレスは、私たちの健康に非常に悪影響を及ぼします。長時間労働、昼夜関係なく送られてくるeメール、常に時間に追われ、不平等な人事評価、人間関係、、、これらのストレスから起因する苦痛、不安、痛み。それらが深刻化・悪化すると、心臓病、高血圧、アルコール依存症、精神疾患、さらには死に至ることもありうるのです。
企業がウェルネスプログラムを実施することによって、従業員の幸福感・健康は向上し、それに伴い職場への満足感を感じることで仕事の生産性が高ます。結果、業績は伸び、健康保険料の削減につながるのです。スタンフォード大学ビジネス専攻教授陣による試算によれば、職場のストレスによって発症した病気に年間125〜1,900億ドルもの医療費が費やされており、それは全体の5〜8%にものぼるそうです。まさにウェルネスプログラムは提供する側、受ける側双方にとってWin-Winなシステムなのです。
意外かもしれませんが、実はアメリカは日本同様に長時間労働の国なのですが、企業側はその問題点にいち早く気づき、改善のためのウェルネスプログラムの導入が広がっています。もちろん、日本の企業も充実した福利厚生を提供している企業が多くありますし、社会的に「働き方改革」への取り組みは進んでいるようです。ですが健全な労働環境が法によって守られているヨーロッパ諸国に比べると、今だに有給取得率は非常に低く、休まずに長時間労働をしている人を高く評価する風潮が強く残っているのではないかと感じています。
日本の皆さんの健康と幸福の日々の為に、この”ウェルネス”の考えが、日本の企業にも早く広く浸透することを願います。
Lots of Love,
Erica
出典1:https://www.gsb.stanford.edu/insights/why-your-workplace-might-be-killing-you
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