残念ながら、この世のどんな腹筋運動やコアエクササイズでも、それだけでスッキリとシェイプされた”ファットフリー”な腹部をもたらしてくれることはありません。そして、お腹の脂肪を一撃する特効薬はないというのが悲しい現実。栄養豊富でバランスのとれた食事とエクササイズを習慣化するほかないのです。
ところが、ダイエットに励み、エクササイズを一生懸命やっても、お腹の脂肪の蓄えはなかなかなくなりません。
なぜならば、実はそれ以外の重要な要素があるからなのです。
それは質の良い睡眠をたっぷり取ることなのです!
睡眠不足が美容と健康にとって計り知れないマイナスの要因となっていること、特に脂肪細胞機能に作用することを、科学者たちはずっと以前から研究しています。
睡眠不足の状態だと、脂肪細胞がインスリンに適切に反応する機能を低くするという研究結果があります(出典1)。インスリンは、エネルギーの蓄積と消費を司る要で、もちろん体重の増減にも関係しています。言いかえれば、脂肪細胞が正しく機能するためには睡眠が必要なのです。他にも、40歳以下の人を対象としたアメリカの調査(出典2)では、平均睡眠時間が5時間以下の人は内臓脂肪率が高いという、はっきりとした因果関係があることが判明しました。
インスリン分泌の乱れが続くと、“マフィントップ腹”とか“浮き輪腹”などと呼ばれる、ウエスト部分に乗っかったおなかまわりの脂肪の原因となるだけでなく、2型糖尿病や心臓発作、脳卒中、その他の疾患の危険因子ともなり得ます。
インスリンは食欲をコントロールするホルモンであるレプチンとグレリンにも影響します。レプチンは脳に満腹信号を送る働きをし、グレリンは空腹を感じる信号を脳に送ります。
十分な睡眠が取れていないとレプチン値は下がり、グレリン値が上がります。そうなることで、起きている時間に食欲が増します。そして空腹感が続く為、もっと食べてしまうことになります。
なにより、人は疲れているとヘルシーなものではなく、デニッシュやドーナツ、菓子パン、フライドポテトなど、砂糖たっぷり・高脂肪の食べ物を一日中食べたいと欲するようになる傾向があります。インスリンは、摂った食べ物をすぐに熱量に変えるか、脂肪として蓄えるかを決定するホルモンです。間違った食べ物を摂ると、脂肪として蓄える機会を増やしかねません。
では一体、どのくらいの睡眠が必要なのでしょう?
一晩に最低でも7時間の睡眠が理想的ですが、日本人はそれよりもかなり少ない睡眠時間しか現状取れていません。日本人は世界一寝ていない民族で、日本人のおよそ40%が1日6時間以下しか睡眠がとれていません。この数値は、ここ10年で11.1%も増加しています。
その理由の一つとして、近年の技術の進歩があげられます。大変便利で様々な恩恵は受ける一方、私たちの睡眠問題の解決には役立っていないようです。ついつい、スマートフォンやインスタグラム、フェイスブック、ゲーム、TV、メールや仕事と引き換えに、睡眠時間を削ってしまっています。
電子機器から放出されるブルーライトは、熟睡するのに必要なホルモンであるメラトニンに悪影響を及ぼします。また自分のツイートがリツイートされたりインスタグラムにコメントが付く度に、目が冴えてしまう神経伝達物質のドーパミンが分泌されます。これら両方の要因が、睡眠へのハードルを上げることになるのです。
健康的な体重維持とスッキリお腹にとって、良質な睡眠は何にも代えがたいもの。睡眠は、栄養と運動と同じく、美容と健康、そして健康的な体重にとって間違いなく重要な柱です。
睡眠不足は体重増加につながるだけでなく、腹部の脂肪を増やすことについては様々な研究が続々と発表されています。質の悪い睡眠は、肌の老化、肥満、糖尿病、心臓病、アルツハイマー、さらには関節炎、歯周病、がんなどの死亡リスクを高めます。風邪をひきやすくなったり、花粉症になる可能性も高まります。また体温にも大きな影響を及ぼします。よく寝ていない状態だと、体温が0.5度程下がります。ですから、冷え症の方は睡眠をしっかり取ることで冷えの対策になります。
睡眠を削ったり、週末に寝ダメしようとするのはいけません。ぜひ、睡眠を第一優先と考えてください。よく眠るほど、脂肪が燃焼されます。もし、早起きして運動するか、それとももう少し寝るか迷ったとしたら、、、もう少し寝る方を是非チョイスしてみてください!
Lots of Love, Erica
出典1:Broussard, J. L., Ehrmann, D. A., Cauter, E. V., Tasali, E., & Brady, M. J. (2012). Impaired Insulin Signaling in Human Adipocytes After Experimental Sleep Restriction.Annals of Internal Medicine,157(8), 549.http://dx.doi.org/10.7326/0003-4819-157-8-201210160-00005
出典2:Hairston, KG., Bryer-Ash., M; Norris., JM; Haffner., S; Bowden., DW; Wagenknecht, LE. (2010). Sleep Duration and Five-Year Abdominal Fat Accumulation in a Minority Cohort: The IRAS Family Study. Sleep. 33 (3): 289-295.http://www.journalsleep.org/ViewAbstract.aspx?pid=27724
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