ストレスは私たちが考えているような敵ではないかもしれません!
3万人のアメリカ人を8年間追跡調査した研究(出典1)によって、ストレスが多い被験者は死亡リスクが43%も増加することが判りました。ですが、これは、被験者がストレスを有害なものであると認識している場合にのみ該当するもので、ストレスは有害なものではないと認識している場合には、早期の死亡リスクは上昇しないことが明らかになったのです。
ハーバード大学の研究(出典2)で、被験者がストレスを受けた際の心臓の動きをモニタリングをしたところ、多くの被験者は血管の収縮を示しました。血管の収縮は高血圧につながり、心臓発作や脳卒中などのリスクを高める可能性があります。ですが、ストレスは“有益である”と説明を受けた被験者の血管はリラックスした状態である、ということが明らかにされたのです。
前出の2つの研究結果からもおわかりいただいたように、大切なのは私たちがストレスをどう捉えるのか?ということのようです。ストレスは敵か否か、その捉え方次第でストレスが私たちの健康へどのような影響を及ぼすのかが変わるのです。いかに「捉え方/考え方」がパワフルな力を持っているのか、ということですね。
別の研究(出典3)では、急性ストレス(慢性的な長期ストレスではない)が、脳の幹細胞を新しい神経細胞に増殖させ、それが成熟した2週間後には、精神的な能力が向上することが判明しました。適当なストレスは、脳の働きの向上を促し、パフォーマンスと健康にも良い影響を与えます。それにより、より効率的にタスクを達成すること、そして目標を達成するための動機付けに役立ちます。
食の栄養と同じく、ストレスにしてもバランスが大切。あまりにもストレスが少ないと、退屈でうつ病につながることがあります。逆にストレスが多すぎれば、不安で健康状態が悪化し、多くの病気を引き起こしてしまいます。
急性ストレスを受けると、アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンが放出され、心臓の鼓動は早まり、肺が広がり、呼吸が早く浅くなり、肝臓からグルコースが放出されます。より注意深くなりそして感覚が鋭くなります。急性ストレスが消失した後、体が正常に戻るまでに約20分〜60分かかります。ですので、急性ストレスを感じた後は、十分な睡眠や栄養ある食事をしっかりと摂り、趣味などで楽しい時間を過ごすなどして副交感神経をオンにするようにしましょう。
ストレスは避けて通ることはできません。ですが、そのストレスを敵とみなすのか、自分を高めてくれる友とみなすのかよって、“ストレス”があなたの心身の与える影響を変えることができるのです。要はあなたの捉え方が大切ということです。
Lots of Love, Erica
出典1:Keller, A., Litzelman, K., Wisk, L. E., Maddox, T., Cheng, E. R., Creswell, P. D., & Witt, W. P. (2012). Does the perception that stress affects health matter? The association with health and mortality. Health Psychol. 31(5):677-84. doi: 10.1037/a0026743.
出典2:Jamieson, J. P., Nock, M. K., & Mendes, W. B. (2012). Mind over Matter: Reappraising Arousal Improves Cardiovascular and Cognitive Responses to Stress. Journal of Experimental Psychology. General, 141(3), 417–422. http://doi.org/10.1037/a0025719
出典3:Kirby, E. D., Muroy, S. E., Sun, W. G., Covarrubias, D., Leong, M. J., Barchas, L. A., & Kaufer, D. (2013). Acute stress enhances adult rat hippocampal neurogenesis and activation of newborn neurons via secreted astrocytic FGF2. eLife, 2, e00362. http://doi.org/10.7554/eLife.00362
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