先進国の主な死亡原因であり、日本でも死因1位である「がん」。その「がん」による死亡の約90%は、転移によるものだそうです。
今年3月に発表された研究(出典1)によって、慢性的ストレスが、がん細胞の浸潤転移のスピードを加速させることが明らかになりました。がん細胞というのは、血管またはリンパ管を経由し、体全体に広がっていきます。
その「がん細胞の道」となる血管・リンパ管が、ストレスに関係があるのです。ストレスを感じると、アドレナリンとノルアドレナリン等のストレスホルモンが放出され、それにより血管新生(新しい血管が増生すること)を活性働きがあります。血液の循環経路が増えるということは、がん細胞が全身に広がりやすくなるということです。 さらに、慢性的なストレスによって、交感神経系、「闘争か逃避の反応」が活発化され、リンパ機能とがん細胞の転移に多大な影響を与えます。このように、 ストレスはがんの「肥やし」と化し、血管やリンパの流れに乗って全身に広がろうとするがん細胞のアシストをしてしまうのです。
がんと診断され、そしてがんをかかえて生きることは、想像以上に大きなストレスとなることでしょう。こういった場面で、何よりも重要でありそして優先すべきことはストレスマネジメントなのです。
身体がストレスホルモンを放出するとき、心拍数・血圧・血糖値が急上昇します。この反応は、あなたを危険から身を守る際に大切な働きをします。ですがそれが慢性化してしまうと、心身に破滅的な影響を及ぼすことになるのです。
ではどうすればよいのでしょう?がんを患っている人はもちろんですが、今健康な人にとっても問題なのは、常にあれこれ考えすぎて忙しい私たちの交感神経が、目覚めてから寝る瞬間まで「スイッチオンの状態」になっているということなのです。
そこで、この「交感神経をスイッチオフにして、副交感神経(休息・修正モード)をオンにする」にする自分なりの方法を見つけることをお勧めします。いくつかの効果的な例をご紹介しましょう。
*深呼吸・ヨガ・太極拳・気功・マッサージをする
*自然との触れ合う
*リラクゼーション効果のある音楽を聴く
*上質な睡眠をとる
*日記をつける
*笑う
*普段感謝していることを思い出す
*前向きになるような本を読む
*友達や家族など自分をサポートしてくれる人たちと一緒に過ごす
*ゆっくり泳いだり散歩などの軽い運動をする
*人生に対して前向きな考えを持つ
*ペットと過ごす時間をもつ
*あなたが楽しい!嬉しい!と感じることを優先する
とても簡単なようですが、実際に実行できている人はそう多くはいないように感じます。
慢性的ストレスは、がんの転移スピードを変えうるほど、人体に大きな影響を及ぼすのです。交感神経から副交感神経へのスイッチ切り替えを行うストレスコントロールができるかどうかで、あなたの将来の健康状況は大きく変わることになるでしょう。ぜひあなたなりの上手なストレスコントロール方法を見つけてください。
Lots of Love, Erica
(出典1):Le, C.P., Nowell, C.J., Kim-Fuchs, C., Botteri, E., Hiller, J.G., Ismail, H.,…& Sloan, E.K. (2016). Chronic stress in mice remodels lymph vasculature to promote tumour cell dissemination. Nature Communications, 7, 10634. http://dx.doi.org/10.1038/ncomms10634
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