健康と美のためには、精製された白砂糖、異性化糖、そして人工甘味料は、“避けるべき”食材であることは、ずいぶん以前からお伝えしています。すると、必ず“じゃあ甘いものが欲しい時は何を摂れば良いのですか?”という質問を受けます。
そこで、私が皆さんにお勧めしている甘味料はメープルシロップです。自然甘味料ですから、精製された白砂糖のように栄養素まで剥ぎ落とされておらず、マンガンや亜鉛、ビタミンB2等を大変豊富に含んでいます。
それだけではなく、最新の研究によって、健康と美容に効果のある抗炎症や抗酸化作用が非常に強いことが明らかになっています。
この研究によって純正メープルシロップは、フェノールが大変豊富であることもわかりました。フェノールとは、ベリー類やアブラナ科の野菜や緑茶等にも多く含まれる抗酸化物質です。そのうちの一つは、メープルシロップの産地でるカナダのケベック州にちなんでつけられたケベッコール(Quebecol)と呼ばれ、メープルシロップ特有の抗酸化物質です。
濃縮純正メープルシロップを使った研究(出典1)で、フェノールは、細胞の炎症を抑える効果があることを突き止めました。細胞の炎症はアルツハイマー、がん、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、心臓病などの疾患との関連性があり、そして肌の老化を含む老化を加速させる原因の一つであると言われています。細胞の炎症を抑えることができれば、それら疾患の発症を防ぎ、老化の速度を遅らせることが可能になるということです。
別の研究(出典2)では、純正メープルシロップに24種ものフェノール類の抗酸化物質を含んでいることが判明しました。それらは、様々な慢性疾患を引き起こす炎症の原因とされているフリーラジカルの生成を抑えるだけではなく、DNAの損傷や突然変異などから細胞を守る効果もあるとされています。
そして、昨年発表された研究(出典3)によって、マイクロフローラに良い働きがあるということも判明したのです。バナナ、玉ねぎなどに含まれる食物繊維イヌリンが、メープルシロップにも含まれることが判ったのです。イヌリンは、ビフィズス菌や乳酸菌に代表されるプレバイオティックで、悪玉菌を減らしつつ、健康に有利なプロバイオティックス菌の成長を促す効果があります。
ただ、上記のような効果は“本物”の純正メープルシロップでなければ望めません。市場にはメープルシロップ風味の異性化糖や人工甘味料で作られたパンケーキシロップが多く出回っているのでご注意ください。
純正メープルシロップでもいくつか種類があるのですが、色が薄いものよりも濃い“アンバー”と呼ばれている種類を選ぶことをお勧めします。色が濃ければ濃いほど、健康に効果的な抗酸化物質を多く含んでいるからです。また、メープルシロップのGI値は高くないので、精製された砂糖等のように血糖値が急上昇することもありません。
健康や美容にも素晴らしい効果のあるメープルシロップですが、摂りすぎにはくれぐれもご注意を!決してがぶがぶと飲むような摂り方はされませんように。
Lots of Love, Erica
出典1:Yongqiang Liu, Kenneth N. Rose, Nicholas A. DaSilva, Shelby L. Johnson, and Navindra P. Seeram (2017),
Isolation, Identification, and Biological Evaluation of Phenolic Compounds from a Traditional North American Confectionery, Maple Sugar, Journal of Agricultural and Food Chemistry, 65 (21), 4289-4295 DOI: 10.1021/acs.jafc.7b01969
出典2: Abou-Zaid, M.M.; Nozzolillo, C.; Tonon, A.; Coppens, M.D.; Lombardo, D.A. (2008). High-performance liquid chromatography characterization and identification of antioxidant polyphenols in maple syrup. Pharmaceutical Biology 46: 117-125.
出典3: Jiadong Sun, Hang Ma, Navindra P. Seeram, and David C. Rowley. (2016).Detection of Inulin, a Prebiotic Polysaccharide, in Maple Syrup. Journal of Agricultural and Food Chemistry. 64 (38), 7142-7147 DOI: 10.1021/acs.jafc.6b03139
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