どれだけ忠実にダイエット法を実行しても、睡眠時間を削ってしまったら、脂肪燃焼の妨げとなってしまうことをみなさんはご存知ですか?実際に、睡眠不足が体重増加につながるということを多くの研究結果が示しています。
カロリー制限をしたダイエット法を行っている人を対象にした研究(出典1)によると、睡眠を十分とったグループ(約8時間)の人の方が、睡眠不足のグループ(5時間以下)よりも55%も多く脂肪が落ちたとのことです。一方で、睡眠不足の人たちは睡眠を十分とった人に比べ筋肉量が少なくなってしまったのです。筋肉は新陳代謝を活発にする上でとても大切で、筋肉量が多いとより多くのカロリーを消費できるので、筋肉量が少なくなるということは、ダイエットをしている方にとって非常にマイナスなことなのです。
また、睡眠時間が減ると、より空腹感を感じたということもこの研究で明らかになりました。これはどうしてでしょう?睡眠不足になると、食欲を増進させるグレリンというホルモン値が高くなってしまうのです。グレリンの値が高くなると、お腹が空くだけでなく、エネルギーの消費量が減り、脂肪を蓄える働きが促進されてしまうということも分かっています。特に、体が疲れてくると、エネルギーを保つために、食欲を増進させるホルモン類が分泌されるのです。
さらに、睡眠不足に夜更かしが重なると、炭水化物や脂肪分の多い食事を過剰に食べてしまうことが分かりました。それだけではなく、食事のリズムも変わり、朝食の量が減り、夜食が増えるということです。そして、夜食で最も多くのカロリーを摂取するようになり、このことが体重増加にもつながってしまうのです。
また、昨年発表された最新の研究(出典2)によると、睡眠不足は脂肪細胞にも変化をもたらすことが分かりました。研究者たちは、20代前半の人を対象に、睡眠時間が8.5時間から4.5時間に減少した場合、どういった変化があるのかということを調べたところ、たった4日間で脂肪細胞のインスリンに対する反応が悪くなってしまいました。こうした変化は、糖尿病や肥満にも関連してきます。
しかし残念ながら、現状は以下の図の通り、日本人の睡眠時間は世界で最も少ないのです。睡眠には体重を維持するための効果が高いだけでなく、多くのアンチエイジング効果があり美しく歳を重ねるためにとても重要なことです。これを機に、ぜひ睡眠を優先するようにしましょう。それに加え、睡眠の質を高めることもぜひ心がけてください。
睡眠の質については過去のポストをご参照下さい。⇒ https://www.facebook.com/photo.php?fbid=431829303537214&set=a.404642852922526.102983.397936873593124&type=1&theater
Lots of Love, Erica
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(出典1) Nedeltcheva. A.V., et al., “Insufficient sleep undermines dietary efforts to reduce adiposity,” Annals of Internal Medicine, October 2010, vol. 153, no. 7, pp: 435-441.
(出典2) Broussard. J. L., et al, “Impaired Insulin Signaling in Human Adipocytes After Experimental Sleep Restriction: A Randomized, Crossover Study, Annals of Internal Medicine, October 2012, vol. 157, no. 8, pp: 549-557.
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