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    風邪薬を飲む前に知ってほしい 抗生物質が引き起こす糖尿病、乳がんのリスク

    風邪薬を飲む前に知ってほしい 抗生物質が引き起こす糖尿病、乳がんのリスク

    寒くなりましたね!今年も風邪の季節がやってきました。みなさんは風邪気味だなと思った時にどんな薬を飲んでいますか? 市販の総合感冒薬?葛根湯なのどの漢方薬? 生姜やハチミツ?それとも即効性のある抗生物質でしょうか?

    確かに細菌退治に効果的な抗生物質は、みなさんにとって身近な薬でしょう。その即効性により何にでも効く万能薬だと思っている方もいるかもしれません。しかし、もしあなたの病気の原因が細菌ではなくインフルエンザなどのウィルスによるものだったら、抗生物質は全く効果がないことはご存じでしょうか?それどころか、いくつかの新しい研究では抗生物質が2型糖尿病と乳がんの発症リスクを上げてしまうことが明らかになったのです。

    まず、今年の10月に発表されたデンマークの研究(出典1)をご紹介します。この研究は、デンマークで2000年から2012年の12年にわたり17万人の2型糖尿病患者と130万人の非糖尿病患者を対象に行われたもので、抗生物質の使用と2型糖尿病の発症リスクの関連性について調査されました(性別、世代別に比較)。すると、2型糖尿病を患う被験者はその病気にかかる以前(最大で15年前)から明らかに一般水準を超える量の抗生物質を服用していたという経歴に共通点があるということが明らかとなったのです。そして、抗生物質の使用と糖尿病の発症には関係があるということが判っただけでなく、抗生物質が多く処方されるほど糖尿病の発症リスクが高まるということまで明らかとなったのです。

    さらに、今年3月にイギリスで20万人以上を対象に行われた研究(出典2)からも、抗生物質の繰り返しの服用で、糖尿病の発症リスクが高まることが判っています。この研究はBMI、喫煙歴、冠動脈疾患の病歴などその他のリスク因子を調整した後に調査されました。

    この二つの研究結果から、研究者たちは抗生物質の服用は糖尿病の発症リスクを上げるだけでなく、消化機能に必要不可欠な腸内微生物叢のバランスを崩し、代謝、体重、そして砂糖の吸収機能にも影響を及ぼすと結論づけました。実際に、抗生物質は健康に最も有害な影響を及ぼし、その服用により悪化した代謝機能が元の状態に戻るまでには最高で約1年半もかかってしまうのです。

    それでは、次に抗生物質の服用と乳がんの発症リスクについてお話しましょう。ある研究(出典3)から、抗生物質を500日以上服用した女性、もしくは、17年間で25回以上の処方を受けた女性は、そうでない女性より乳がんの発症リスクが倍以上高く、抗生物質の服用がそこまで多くなかった女性は、乳がん発症リスクも相応に低くなったということが判りました。

    抗生物質は細菌を退治するためには便利な薬ですが、消化や代謝をサポートし免疫力を高める善玉菌を全滅させてしまうというデメリットがあります。長期的な服用により、腸内の微生物叢バランスが崩れて免疫力が低下してしまうため、がんの発症リスクも上がるということなのです。先ほどもお話したように、腸内の微生物叢をバランス良く保ち免疫力を維持することが、糖尿病や乳がんをはじめとする様々な病気を未然に防ぐカギとなるのです。

    また、抗生物質は風邪の治療に頻繁に処方されますが、ウィルス感染には全く効果がないため、ウィルスによっておこる風邪には実は効かないのです。(出典4)みなさん、抗生物質は正しく服用すれば即効性がある便利な薬ですが、やみくもに抗生物質を服用するのは危険です。これからは今の症状改善に本当に必要なのかどうかを考え、医師に相談したりクリニックで検査してから服用するようにしてください。免疫力と代謝の向上、そしてバランスの良い腸内環境を保つことで、きっと身体からも感謝されるでしょう。

    Lots of Love, Erica

    (出典1): Mikkelsen, K., et al., “Use of Antibiotics and Risk of Type 2 Diabetes: A Population-Based Case-Control Study,” Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism, October 2015, vol. 100, no. 10, pp: 3633-3640.

    (出典2): Boursi, B., et al., “The effect of past antibiotic exposure on diabetes risk,” European Journal of Endocrinology, June 2015, vol. 172, no. 6, pp: 639-648.

    (出典3): Velicer, C. M. et al., “Antibiotic Use in Relation to the Risk of Breast Cancer,” The Journal of the American Medical Association, 2004, vol. 291. no. 7, pp: 827-835.

    (出典4): Arroll, B., et al., “Antibiotics for the common cold and acute purulent rhinitis,”. Cochrane Database Syst Rev, 2005, DOI: 10.1002/14651858.CD000247.pub2

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