私たちは日々色々なストレスにさらされています。通勤ラッシュによる朝からの疲労。仕事での失敗。パートナーや家族との些細なことでの言い争い。疲れているにも関わらず心配事がたくさんあるが故の寝つきの悪さ。十分な睡眠時間とは裏腹に残り続ける倦怠感。
このように、ストレスの要因は大きなものから些細なものまで様々ですが、実はこのストレス、精神的・肉体的に不快感を及ぼすだけに留まらず、私たちの代謝にまで影響を及ぼします。高脂肪の食事を摂る前に何かしらのストレスを感じると、そのことが代謝率を悪くしてしまい、より体重が落ちにくい状態を作り上げてしまうという研究結果(出典1)が昨年発表されたのです。
ストレスが溜まると、なぜか無性に砂糖や脂肪分がたくさん入った甘い物を食べたくなりませんか?または、週末には疲れ切ってしまい料理をするのも億劫になって、身体に良くないと知りながらも「今日だけなら…」とファストフードで食事を済ませてしまったり、ジャンクフードや甘いものが突然食べたくなって、気付いたらお財布と家の鍵を握りしめてコンビニに向かっていた…。そんな経験に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
ご存知の通り、ジャンクフードは明らかに美と健康に良いものではありません。「今日だけはいいことにしよう」と自分を納得させてみるものの、実際はそんな日が頻繁に続いていませんか。これではストレスと甘い物のダブルパンチで、さらに代謝を低下させ、体重増加を加速させてしまいます。また、ストレスを軽減するために食べたはずなのに、食べてしまったという罪悪感が残り、新たなストレスをも生み出してしまいます。こんな悪循環では何も解決されません。
前述の研究では、前日に重度のストレスを抱えた女性を対象に、彼女たちに高カロリー・高脂肪の食事を摂ってもらい、彼女たちの代謝と消費カロリーを計測するために、血糖値・中性脂肪値・インスリン値・ストレスホルモンのコルチゾール値を調査しました。その結果、ストレスを抱えていた女性はそうでない女性より消費カロリーが104キロカロリー少ない結果となりました。この「ストレスを抱えたままの食事」による影響というのは、1年続ければおよそ5キロも体重を増加させてしまうほどです。また、ストレスを抱えた女性は、身体が脂肪を蓄えることを促すホルモンであるインスリンの数値が高い傾向にあり、同時にカロリーをエネルギーに変える代謝の働きが鈍い状態になりがちです。
残念ながら、ストレスを感じてでんぷん質、脂肪分たっぷりの食に走ることでは、何の解決にもなりません。しかし、私たちの生活からストレスを無くすことは難しいですよね。そこでみなさんに身につけて欲しいスキルは、自分のストレスとどう向き合うかということです。例えば、散歩に出かける、音楽を聴く、友達に電話をする、ペットと遊ぶ、ヨガやストレッチをする。また、日記をつけるのもとても効果的です。ある研究(出典2)では、日々の感情を吐き出すために日記をつけている人たちの不安やストレス値は、日記をつけていない人たちよりもかなり低いということが明らかになっています。一番自分に合うストレス発散方法を見つけて、ストレスを溜めにくい心と身体を作りましょう。
Lots of Love, Erica
(出典1): Habash, D. L. et al., “Daily Stressors, Past Depression, and Metabolic Responses to High-Fat Meals: A Novel Path to Obesity,” Biological Psychiatry, July 2014, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.biopsych.2014.05.018
(出典2): Baikie, K. A. et al., “Emotional and physical health benefits of expressive writing,” Advances in Psychiatric Treatment, September 2005, vol. 11, No. 5, pp: 338-346.
Photo: http://www.mywonderlist.com/
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